2026.02.20あらたか

【hanare宝塚】本とハナレと冬の時間

今年の冬は、久しぶりに宝塚も雪が積もりました。
hanare宝塚(小規模多機能型居宅介護)の庭の緑も綿帽子をかぶり、つぶの大きな雪がふわふわ降りてくるのを、ご利用者さまと少し子どもに戻ったようにわくわくしながら眺めていました。

そんなhanare宝塚の一角には、小さな本棚があります。
自宅で私設図書館を主催されていたAさまがご利用を始められてしばらくして、いっしょに整理した本棚です。「ミニどんぐり文庫」と名付けた一段だけの小さな小さな本棚。今回は、この本にかかわるhanare宝塚の日常をお伝えしたいと思います。

「ミニどんぐり文庫」から登山の本をご自宅へ持って帰られたAさま。ご自宅でも熱心にご覧になる姿を見た奥さまから、実は新聞に登山の連載を持っていた「登山愛好家」であったことを教えていただきました。奥さまが大事にしまっておられた記事のコピーには「自分のペースを乱さず、小さくとも一歩一歩進むことが大事だ」と綴られていました。
それは「どんと来い!」「おおいに結構」が口癖のAさまの人生に重なるようです。暖かいフロアでいっしょに本をめくりながらAさまのお話をきく時間は、焦らず自分のペースで日々を重ねていくことの大事さを私たちに教えてくれるようです。

それは一層空気が冷たくなってきたある日のことでした。
ふと見るとYさまが「どんぐり文庫」の前の椅子に座って本をめくっておられました。それは分厚い歌の本。ご自分で選び、手に取られたようです。小さく口ずさんでいたのは谷村新司の「昴」。
「いい歌ですよね」と声をかけると、「我は行く、青白き頬のままで」と歌うこの歌詞にYさまは「好きなんです。なんだか力をもらえる気がして」と話してくださいました。
思うままにならない心と体を抱えながら、それでも進んでいく――。そう歌うYさまのお姿は、私たちにもいずれ訪れる「老い」に、背筋をのばして向かう先達の姿をみせてくれているようでした。

本棚ができたことで、利用者様の動線が一つ増えました。
動線が増えるということは、生活の幅が増えるということ。より日常に近づくということです。
刺繍の好きな利用者さまとみる刺繍の本。着物が好きな利用者さまとは着物の雑誌。近くのソファーで料理やお菓子の本を読みながら食べたいものを話す冬の時間もまた味わい深いひとときです。

寒さと暖かさを繰り返しながら、季節は春に向かっていきます。
hanare宝塚では「今年は梅を見に行きたいね」と話しています。春に向けて桜の壁絵作りも始まっています。

春の訪れは、もうすぐそこまで来ています。