2025.10.06あらたか
「hanare宝塚(小規模多機能型居宅介護)」では敬老の日に、日頃の感謝を込めてお祝いイベントを開催しました。乾杯の音頭ではじまった昼食会には、山盛りの天ぷらや日本酒ジュレなどが並び、箸も進みます。その背後には色とりどりの手形アートが飾られ、なかでもゴールドが人気でした。金運アップを願った方が多かったのでしょうか。
お食事のあとは、2年ぶりに来訪された「車椅子レクダンス協会宝塚支部」の皆さまによる車椅子ダンス。久しぶりの再会に「えらく人が増えたね」との声があがるほど、テーブルを撤去したフロアには20名近い輪が広がっていました。その中にはご利用さまのご家族さまもいらっしゃいました。
輪の内側にレクダンスの皆さまとスタッフが入り、音楽に合わせてご利用者さまの手を取り一緒に踊ります。曲によってはジェスチャーやじゃんけんが加わり、飽きることがありません。「瀬戸の花嫁」では、「これはルンバです」と説明されると、四拍子のリズムに合わせて立ち上がり手を取り合って楽しむ姿も見られました。
そんな賑やかな中、ご家族さまと一緒に参加されていたFさまは、ひとり目を閉じておられました。以前はこうした席がお好きで絶妙な合いの手をいれて楽しんでいたFさまも、最近では言葉が少なくなりはじけるような笑顔も減ってきていました。そのお隣でご家族さまは「母は歌も踊りも大好きだったんです」とずっと手を握りリズムをとっておられました。スタッフやレクダンスの方も声をかけ、体をさすったりするうちに、Fさまもいつの間にかしっかりと目を開け、ダンスの様子をご覧になっていました。
ほほ笑むことはできなくても、目と目を合わせることはできます。リズムに合わせて体を動かせなくても、添えられる手の温かさは伝わるでしょう。鳴り響く音楽と笑い声に囲まれて、Fさまもその輪の中でたしかに同じ体験を共有していらっしゃいました。お帰りの際、ご家族さまは涙を浮かべながら「今日は母の表情を見ることができてよかったです」と話され、その言葉をきいた企画担当のスタッフも「ご家族さまにお声掛けしてよかった」と深く感じたそうです。
年を重ねて体が思うように動かなくなると、今までのつながりが薄れ孤独を感じることがあるかもしれません。けれども、hanare宝塚で過ごしたこのひと時は決して孤独ではありません。笑顔の輪の中にいるFさまも、また多くのご利用者さまにとっても、つながりの中で過ごした「敬老の日」が明るいものであったことを願います。
後日、ご家族さまから「わたしも幸せな時間を過ごさせていただき、涙があふれてしまいました」とのメッセージをいただきました。ありがとうございました。