2024.05.27GOALZ

長年の夢である詩集を作りたい

長年当社 teon(訪問看護)をご利用いただいているIさまは、30代で胃がん、40代でパーキンソン病を発症し、50歳以降にはご家族を亡くされるなど、数々の大病やできごとを乗り越えてこられました。昨年、肺がんが見つかり、ステージIVと診断され余命宣告を受けましたが、65歳の現在も在宅サービスを受けながら一人暮らしをされています。

Iさまは長期にわたる苦しい時期を経験し、うつ病を発症されましたが、金子みすゞの詩に触れ、自分の思いを詩にすることで心を整理することができたそうです。月日が流れ、詩をたくさん書き溜め、いつかこれを本にしたいという夢を持ち続けてきました。当初は古希(70歳)までに本を完成させたいと思っていましたが、余命を知ったことで、「この夢を必ず実現させたい!」と強く思うようになり、私たちはGOALZを通して詩集作りをサポートし始めました。

抗がん剤治療後の副作用や、パーキンソン病による嚥下障害、言語障害、姿勢保持の困難などがある中、看護師、作業療法士、言語聴覚士がそれぞれの専門分野からサポートを行いました。できるだけ快適に食事や会話、詩選びやパソコン操作ができるように環境を整え、本人の負担にならないように心掛けながら半年かけて詩集を完成させました。

Iさまは、詩集作りが進む中で形になっていく喜びと息子さまの励ましが支えとなり、苦しい時も笑顔で乗り越えてきました。詩集の名前は「病葉集(わくらばしゅう)」といい、枯れているようで実は生きていることを表現した名前です。出来上がった詩集は、自分が書いたものとは思えないほど素晴らしく、夢を見たような感動を覚えられたそうです。

「ミシンかけ」
久々のミシンかけ
何年ぶりだろ ミシンかけ
ミシンを出して 三〇分
なかなか糸が通らない
そこに主人がやってきた
オレがやるぞと言ってきた
だけどやっぱり通らない
二人で少し苦笑い
共に三〇(みとせ)年を泣き笑い
そんな二人の雨の午後

現在も副作用による症状が続いていますが、幸いにもがん細胞が縮小し、体調は安定しています。Iさまは、夢を叶えた喜びと幸福感が生きる力になっていると実感しており、今後はお世話になった方々に感謝の気持ちを伝え、元気な姿を見ていただきながら詩集を手渡したいそうです。


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――人生の残り時間があまりないと言われても、あらがいたい。一日一回笑うと免疫力が上がるといいます。泣いても一生、笑っても一生なら、私は笑っていたい。詩集名を「病葉集(わくらばしゅう)」という名前にしたのは、響きがいいし、枯れているようでも本当は生きているということを聞き、この詩集にぴったりだと思ったからです。出来上がった詩集は、自分が書いたものとは思えないくらい良いものができました。夢にまで見た詩集、感無量です! 夢が一つ叶いました。たくさんの人たちに支えてもらって作れた詩集なので、これは皆さんからの激励であり、自分へのご褒美だと思います。
(Iさまのお言葉より)